研究グループ紹介一覧

ニューロフィジオロジーグループ

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グループリーダー:池田 俊一郎

ニューロフィジオロジー(neurophysiology:神経生理学)は、中枢神経(脳、脊髄)、末梢神経、筋の機能や病態を、脳波や筋電図などを用いて調べる研究分野です。

われわれの研究グループは、患者さんや健常者の方々を対象に、さまざまな条件で測定して得られた脳波データを基にコンピュータで解析を行い、定量化し評価する研究(定量脳波研究)を行っています。脳波とは脳から発生する電気活動を波として捉える計測手技ですが、ミリ秒単位で刻々と変化する脳の働きを、時間軸で鋭く評価できると言われています。解析方法が数学、物理学、解剖学の進歩と共に年々進化しており、侵襲性がほとんどないことなど、被験者への負担も少ないことから、脳の働きを解明するツールとして改めて注目が集まっています。

当研究グループは、向精神薬が脳波に与える影響を評価して薬剤の作用機序を推定する「薬物脳波学」と呼ばれる分野に以前から取り組んでおり、薬物動態などを客観的に評価する研究を行ってきました。当教室の木下教授は日本薬物脳波学会の理事長を務めております。その流れで、新たな脳波解析手法の開発をこの分野の第一人者であるPascual-Marqui博士を中心として行っており、最新のものとしては三次元的な方向性を持った脳機能の連結性を計測するプログラム(LORETA- iCoh法)を開発するなど、その業績は国際的にも評価されています。このような新技術を通して、人の脳機能の理解、また疾患の病態解明、ひいては最新の医療技術の開発に挑戦し続けています。
その他に最近われわれが力を入れている事柄は、脳刺激による疾患の改善を目的とした研究です。特に、経頭蓋直流刺激(tDCS)という微量の直流電流を脳に通して脳機能の改善を図るという分野に関する研究を進めています。現在、うつ病の患者さんにおける検討を始めており、統合失調症、認知症など他の疾患への応用も準備中です。
これらの研究は、国内他施設との協働で行われており、学位取得後は海外留学も可能です。最近ではベルン大学(スイス)を共同研究機関として継続的に人材交流を行っております。

教室内の他の研究グループとの風通しもよく、切磋琢磨しながらやっております。私たちと一緒に、新たな精神科医療のページをめくってみませんか?

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臨床薬理・ゲノム薬理グループ

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グループリーダー:加藤 正樹

精神科治療において、今日その中心的役割を担う薬物療法の個別化医療(プレシジョン・メディシン)を目指し研究を行っています。個別化医療とは、患者の遺伝的背景・生理的状態・疾患の状態などを考慮して、患者個々に最適な治療法を設定する医療と定義されます。

うつ病、統合失調症を対象として継続して行っている無作為化割り付け試験のデータより、比較した治療薬の有用性(効果・副作用)を検討するとともに、ある治療薬で改善した人、しなかった人、副作用が出現した人などの反応性の個人差の原因(因子)を検討します。それらの因子を投与する前に評価することで、各薬剤の反応性を予測し、個人に最適な治療法を選択可能にすることを目指しています。

探索する因子としては、遺伝子(DNA,miRNA)や、そのメチル化、治療に影響する血中蛋白などのバイオマーカー、性格、生活環境などの患者背景や中間表現型(定量脳波やMRI)を対象としています。これらのたくさんの因子が、どのように薬剤の治療反応に影響しているかを詳細に解析することで、各患者に最適な治療を導くアルゴリズムを構築していきます。DNA、miRNA、メチル化は網羅的ゲノミクス、トランスクリプトミクス、エピゲノミクス解析と候補遺因子解析にて行っております。

これまでに、すでに多くの成果を世界に発信していますが、進化する解析技術を使用し、さらなる質と精度の向上を目指し、知識とデータを蓄積し続けています。
精神科領域において、本邦には無作為化割り付け試験をゲノム薬理的な方法論を用いて継続している研究グループはほとんどなく、我々のグループが蓄積しているデータは重要であり、その特徴を活かしたさらなる研究成果を発信したいと考えております。

このような研究に関わりたい方(医師、研究者、大学院生)も随時募集しております。

イタリアのボローニャ大学生物医学・神経運動科学教室(グループリーダー;Alessandro Serretti)と研究交流があり、主要な留学先の一つとなっております。他にも主に、産業医科大学精神医学教室、理化学研究所脳科学総合研究センター、広島大学細胞分子生物学教室、兵庫医療大学薬学部医療薬学科、The International SSRI Pharmacogenomics Consortium (ISPC)等の施設と共同研究を進めています。

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ニューロイメージンググループ

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グループリーダー:齊藤 幸子

ニューロイメージングにおける画像技術の進歩はめざましく、非侵襲的にさまざまな脳内の情報を画像化することが可能になっています。ニューロイメージンググループではKarolinska研究所やOslo大学、Harvard大学神経画像研究所、関西医科大学放射線科学講座、関西医科大学小児科学講座、横浜市立大学医学部精神医学教室、横浜市立大学附属市民総合医療センター、München大学などのスタッフと共同で、精神疾患の診断や治療に役立つ新たな知見を目指した脳画像研究(図1: MRI拡散テンソル画像)を進めています。

ミラーニューロン(図1の赤い領域)は研究対象の一領域であり、他個体の意図を理解する能力と関連があるニューロンです。フロイトが提唱してきた投影性同一視や転移、逆転移の考えが、ミラーニューロンの発見によって裏付けられたという報告もあり、この領域に注目することが、自然科学と人文科学をつなぐ研究に発展すればと考えています。

精神療法や薬物治療が、ミラーニューロンというソーシャルコミュニケーションに関連する脳のネットワークをどのように変化させるのか、治療前後のミラーニューロンの形態変化を観察することで確認する、世界でも初めての研究に取り組んでいます。

参加を希望される方、興味のある方は、齊藤幸子までご連絡下さい。

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うつ病・気分障害グループ

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グループリーダー:加藤 正樹

うつ病・双極性障害の治療エビデンスの蓄積と治療精度の向上、個別化医療(Personalized Medicine)のためのアルゴリズムの構築を目指した研究グループです。

無作為割り付け試験(RCT)を継続して行っており、現在は、未治療のうつ病、治療抵抗性うつ病、双極性うつ病を対象としたRCTが進行中です。他にもうつ病の診断や治療に役に立つバイオマーカーや背景因子などの探索を行っております。

これらRCTの結果を、ゲノム薬理、ニューロフィジオロジーなどの解析方法を用いて、各グループで更なる検討を行っています。

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精神療法研究グループ

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グループリーダー:齊藤 幸子

ひとがどう生きていくかに触れる限り、精神療法は精神科医療において必要不可欠なアプローチです。個人の心の動きをじっくり観察することが、人間の心の普遍的な要素の発見につながります。
精神療法研究グループは、水曜日に症例検討会と抄読会を行なっています。臨床の現場で役に立つ基本的な理論的知見と技法を身につけながら、ニューロイメージンググループと共同で、人の心の動きについての研究を進めています。
参加を希望される方は、齊藤幸子までご連絡下さい。

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ECT研究グループ

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グループリーダー:嶽北 佳輝

【電気けいれん療法(ECT)に関して】
電気けいれん療法(electroconvulsive therapy:ECT)とは頭部に通電を行い、大発作を起こすことで、精神症状を改善する治療法として1938年にイタリアのUgo CerlettiとLucio Biniにより始められました。現在では、全身麻酔薬と筋弛緩薬の併用下で行われることが一般的です。当医局の研究グループでは、主にECT臨床でしばしば直面する不十分発作時の対応(全身麻酔薬の工夫など)に関する臨床研究等を行っています。これにより、発作誘発困難例に対する有効性及び忍容性の高いECTの施行をエビデンスに基づいて行えることを目指しています。

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repetitive Transcranial Magnetic Stimulation
(rTMS) 研究グループ

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グループリーダー:南 翔太

TMS(経頭蓋磁気刺激法)は、脳に対して反復的に磁気刺激を行い脳内に誘導電流を発生されることで脳を刺激する(脳の可塑性変化を誘導する)ニューロモデュレーションの一つである。本邦では、TMSの反復刺激であるrTMS療法が治療抵抗性うつ病の治療に対して2019年6月に保険適応となりました。当教室では、rTMSの最適な刺激位置の同定や治療効果を予測するバイオマーカーの探索、うつ病以外の精神疾患への応用、脳波と組み合わせた脳の神経活動を評価するTMS-EEGを用いた研究をしており、さらなるrTMSの臨床応用の可能性を検証しております。

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